笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

ひと休みします


f:id:sekimogura:20210919221819j:image

 

 六月から休職し八月に職場復帰したが、体調はあまり改善せず、九月にはいってすぐ仕事中に倒れてしまった。休職中に少し体重を戻したのだけど、気がつけばまた六月の体重に戻っていた。で、少なくとも今の仕事をこれ以上継続するのは無理だと考え、退職することにした。当面、治療に専念する。時間をかけて回復すれば座り仕事ぐらいはできるので、体力が戻った頃に別の仕事を探すようにするつもりだ。
 副腎皮質ホルモンの不足と反応性低血糖症をすでに、内分泌科の医師からは指摘されているが、職場で倒れたことを病院で相談すると、「この二つが原因だとすれば、今やっている対策で十分なんだけどなあ。一度、総合内科に差し戻して、違う原因をさぐってみてはどうでしょうか」と提案された。
 イチからやりなおしか。うーん、まいったな。

 備忘録を兼ねて、体重の減り始めから今日までを振り返ってみよう。
 三月に書いた記事を読み返すと、二月末に季節性の頭痛があり、僕はそのタイミングで断酒をしている。体重の減少はここから始まった。もちろんこの時点では、内分泌系の異常なんて想像もしていない。もう少し落とせばちょうどいいなんて気楽なことを書いている。
 四月、新しい仕事を始めた。多少のストレスや疲れは感じていたけど、仕事も職場も変わったのだからそんなのは当たり前だと思っていた。しかし、四月後半に入ったときに強烈な倦怠感を感じて、僕はPCR検査を受けている。このとき、平熱35度台の僕の体温は36度台だった。PCR検査の結果は陰性。翌日には仕事に復帰し、ゴールデンウィークまでは普通に勤務した。
 ゴールデンウィークに入るときには、かなり疲れを感じていたが、まあそれは普通のこと。問題はゴールデンウィークあけ。緊急自体宣言のためにどこにも出かけず、ぐうたらと寝て過ごしたゴールデンウィークだったのに、蓄積した疲労が半分も抜けなかった。ただもちろん、この時点でも「何かおかしい」みたいなことはまだ考えていない。疲れが抜けないのは歳のせいだぐらいに思っていた。
 そして五月。加速度的に疲労が蓄積していくのを感じた。体重もどんどん落ちていた。あまりに急激に落ちるので、上司にそのことを相談したことは覚えている。しかし、このあたりから、だんだん色々な記憶があいまいになってくる。おそらく、低血糖症状をおこしていたのだろう。強い倦怠感、めまい、ふらつき、指先の震え、判断力・記憶力の低下、不安感。こんな状態だから当然、まともに仕事なんてできていないのだが、判断力が落ちているためか「これは休むべきだ」という判断ができず出勤し続け、ある日、通勤中に一歩も動けなくなった。

 その動けなくなった日の前の週に、僕は労災病院の総合内科と近所の心療内科クリニックを受診している。ここではさすがに、「こりゃおかしい」という感覚があったのだ。ただ、この時点では僕も医師も、仕事を中断して療養すべきだという判断には至らなかった。今では、「もうちょっと早めに休んどきゃよかった」と思うけど、それは後からわかったこと。このときに心療内科を受診しているということは、僕は精神的な不調を強く疑っていたわけで、心療内科からは抗うつ剤を処方されている。体重は減少を続けていた。二月に69kgあった僕の体重はこの時点で62kg。その後、通勤中に倒れたが仕事は継続し、六月に休職して検査入院する頃には60kg台まで体重が落ちた。

 労災病院ではまず、体重減少の原因として消化器系の異常を疑われた。最初に行ったのは胃カメラと大腸カメラ。結果は異常なし。その次に、血液検査の結果からACTH欠乏症が疑われ、六月に入院検査を行った。ACTH値がかなり低いのは確かであったが、コートリルを服用するもめざましい改善はみられず、僕は服薬を中断している。
 七月、セカンドオピニオンを仰ぎに神大付属病院を受診した。休職をして体を休めているので、この頃は体重が増加に転じていた。と言っても、まだ62kg台だったと記憶している。神大付属の医師に病状を説明し、また労災病院での検査結果をみてもらう。通常であれば、この場合はコートリルの服用によってほぼ完全に症状は改善するという医師の指摘に従って再びコートリルの服用を開始。10mgを一ヶ月使用した。やっぱり体感できるような改善はなかったが、体重はもう1kg戻って、八月の再診日には63kg台。
 再診で問診を受け、「低血糖症かもね」と指摘され、お盆が終わった頃に四時間糖負荷試験を行い、反応性低血糖症と診断された。食事と食事の合間に補食を行うことで症状が回避できるとアドバイスをいただく。コートリルを続けるかどうかは迷ったが、お守りだと思って続けることにする。血液検査の結果を見ながら医師は、「この数値なら、半量でいいよ」と5mgの錠剤を処方してくれた。
 そして、仕事復帰。
 最初は仕事量を加減しながら出勤していた。朝は出勤前にコートリルを服用する。血糖値スパイクを起こさないように食事内容に注意し、上長に許可を得て仕事の合間に補食を摂る。八月中はそれでうまくいっていた。しかし、九月になって仕事量を以前と同じ程度に戻した途端、体重が減少し始め、たったで一週間で61kg台に逆戻り。そしてまた、強い倦怠感、指先のしびれ、めまいを感じるようになり、ついに仕事中に立てなくなってしまった。すぐに神大付属病院で診察してもらったのだが、そうしたら冒頭に書いたように、「違う病気を疑った方がいいかもね」ということになったわけだ。

 対策は十分にとっているはずなのに、とにかく倦怠感がひどい。仕事が終わって帰宅すると、登山でもしてきたかのような疲労を感じる。そしてその疲労が、きちんと休んでも全然ぬけない。仕事をした日は22時から23時の間には就寝し、翌朝は5時半頃に起床する。睡眠時間は十分だし、きちんと眠れていると感じている。なのに、目覚めた瞬間にはもう、筋肉痛に似た疲労を全身に覚えるのだ。土日は十分に休む。平日の生活リズムを大きくは乱さない範囲で過ごし、買い物や軽い散歩程度に体を動かすだけ。だが、月曜日の朝が元気いっぱいだと感じたことは、ここ数ヶ月ない。
 倦怠感を感じている状態で立ち仕事をすると、めまいを感じたりふらついたりし、職務上やむをえずそのまま作業を続けると指先がしびれて紙がめくれなくなったり、最悪の場合には座り込んでしまうこともあった。めまいがひどくなると、「さすがにちょっと休むべきだ」みたいな正常な判断ができなくなる。その時の記憶は、後で思い出そうとしてもあいまいだ。何を、どんな手順でやろうとしていたのか、その時も全然思い出せなかったし、後からも思い出せない。
 そこまでひどい状態でない時でも、とにかく集中力がなくて困る。例えば仕事の連絡票でA4の紙を一枚渡されても、びっしりと書かれた文字を読み切ること自体が難しいし、仮に目を通しても、紙の左下まで読み終わった頃には右上のあたりに書いてあったことをすっかり忘れてしまう。実は今、こうやってブログに上げようとして書いている文章も、何度も何度も読み返しながらでないと書き進められず、そうやって書いていても内容に全然自信がもてない。書こうと思っていたことと違うことを書いて、読み直してそのおかしさに気づき、消しては書きなおすということを繰り返しながら書いているが、それでも最後に通読して「やっぱりここはおかしい」と思うことが度々ある。多分、書き切ってこれでOKと思っても、数日後に読み返すと変なところがボロボロ見つかるんだろうな。

 原因が何であれ、とにかく調子を取り戻さなければならない。少なくとも八月のコンディションまでは戻さないと、何もできない。話はそれからだ。しばらくはとにかく、軽い運動をしながら、資格取得の勉強や読書でもしていようと思う。
 どうせ、他にできることもない。前向きな気持ちで、ぐうたらしていよう。