笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

ニフレック


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 近頃、ひどい倦怠感に悩まされ続けている。
 仕事に差し支えるぐらいつらいので、病院で検査を受けている。最初は血液検査、CT、レントゲン。次に胃カメラ。そして、今日は大腸カメラ。

 胃カメラは、若い頃に一度のんだことがある。ひどい体験だった。あれはもう二度と飲むまいと心に決めていたけれど、こうなっては飲まざるをえない。そう覚悟を決めて、飲んだ。すると、今回は麻酔の効きがよかったために、全然苦しくなかった。なんだ、ちゃんと麻酔効くんじゃないか。20年前の麻酔技師をちょっと恨んだ。そして、麻酔さえきちんと効いていれば、内視鏡なんてなにも怖くないと知った。

 胃から十二指腸にかけては問題がなかったので、大腸カメラをいれることになったわけだが、大腸カメラは胃カメラよりいくらか面倒だ。まず、検査の前日から食事の制限がかかる。繊維質のもの、脂肪質のものは一切とることができない。検査前の説明では、ハチミツを塗った食パン、素うどん、おかゆ(ほぼ重湯)、豆腐以外のものは口にするなと言われた。一応、大腸カメラの検査前日に摂取できるレトルト食品があるらしいのだけど、一日だけのことだから今回は購入しなかった。そして、検査前日の夜から完全に絶食し、当日は経口腸管洗浄剤を飲み、腸内をきれいにしてから検査となる。

 この経口腸管洗浄剤がニフレックというのだけど、これを飲むのが本当につらい。
 災害時に水を配るビニールパックみたいなものに粉末剤が入っていて、それを2リットルの水でとかし、半日かけて飲みきる。すると、腸管内の異物がすべて排泄される。ニフレックとはそういうものなのだが、まず、味がひどい。スポーツドリンクのような香りがするので、ポカリスエットアクエリアスみたいな味が想像されるのだけど、実際に口に含んでみると、全然違う。塩味が強く、とても飲みにくい。
 そのニフレックを、15分ごとに紙コップ一杯ずつ飲み、二時間程度で飲みきる。最初は、余裕だと思った。僕は割合に胃袋にものを詰め込める方なので、真夏であれば2リットルのペットボトルを午前中に空にするぐらいはどうってことないからだ。しかし、三杯目くらいから、普通の飲料を飲むのとは勝手が違うことに気づいた。ニフレックはとにかく腹にたまる。ものすごく腹が張る。キツい。
 まずいのと、キツいのとで、四杯目ぐらいから僕は戦意喪失した。しかし、心折れたからと言って、ニフレックを飲まないわけにもいかない。なるべく物事を深く考えないように心がけながら、一時間で容器の半分、1リットルを飲んだ。
 便意を感じる度にトイレに行った。六杯目を飲んだ後の排泄物はほぼ無色透明だったので看護師にチェックを依頼すると、「もう十分ですよ、検査に行きましょう」ということになり、ニフレックはそこで中断。ほっとした。

 近頃は昔と違って、医者にかかるのは「痛い、辛い」のが当たり前なんてことはなく、僕が子どもの頃よりずいぶん楽に受診できるようになった。しかし、このニフレックに関しては、かなり辛い。腹がはるのは仕方がないとしても、あの味はもうちょっと何とかならないものか。僕がニフレックをまずそうに飲んでいると、通りがかりの看護師も「それ、味が、評判悪いのよね・・・」なんて気の毒そうに声をかけてくれた。みんな、ニフレックの味を知っているのだ。メーカーさん、もうちょっと工夫できませんか? 高級ワインの味にしてほしいとは言わないけれど、鉄骨飲料みたいな味にだったらできるんじゃないかな。ダメ?

 で、その後は大腸カメラの検査をうけた。検査結果は問題なし。ポリープの切除も無し。異常がないのはいいことだけど、原因が判明しないのは本当に困る。はやく元気になって仕事に復帰したい。今は、それだけを願っている。