笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

サンボーホール


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 メインの収入以外に、吹奏楽部を教えている中学校からお礼をいただいた。それが割とまとまった額になったので、今年は確定申告が必要になった。とはいっても基礎控除に満たない額で、大したことのない額の還付金はなくたっていいくらいだけど、ルールはルールだ。十数年前、横浜にいた頃にも一度、会社以外からの収入があったのを確定申告したことがあって、自分で手続きをするのはそのとき以来である。パソコンで慣れない書類をつくり、申請書をプリントした。

 例年であれば近隣の税務署に書類を出すらしいのだけど、今年はコロナのせいで、サンボーホールに会場がかわった。僕は普段、自分で確定申告をすることがないサラリーマンなので、変わったと言われてもピンとこない。サンボーホールか。行ったことないな。税務署もだけどね。そんなことを思いながら作った書類を鞄につめて浜辺町に出かけた。

 何か用事があって浜辺町に出かけたのは、これが多分初めてだ。いや、そもそも浜辺町に用事があったことなんて人生で一度もない。当然、サンボーホールも初めて。僕の中では、「プロレスの公演をやるところ」というイメージ。プロレスの興行があると、街のあちこちでプロレスのポスターを見るが、そのポスターに会場名として記載されているのは大抵、サンボーホールだ。一度くらい見に行ってみたいなとは思っていたけど、プロレスの前に確定申告でサンボーホールに行くことになった。

 プロレスの公演をやるくらいだから、きっと広いんだろうと思っていた。そのホールを見るのがちょっと楽しみでもあった。外から見ると、中々立派な建物である。あちこちに誘導の矢印が張ってあるので、それに従って進んでいくと行列が見えた。僕を見るなり係員が寄ってきて「LINE予約してますか?」と尋ねるので首を横に振ると、行列の最後尾に案内された。しばらくそのまま大人しく並んでいたのだけど、少し進んだところに張ってあった案内ポスターに「もう書類を作ってきた人は別の入り口」と書いてあり、別の係員に申し出ると小部屋に案内された。いや、それは部屋ですらないような、まるで廊下の途中のちょっとした休憩スペースみたいな場所だった。そこに設けられた小さなブースで書類を出し、そのまま建物を出る階段を下った。プロレスの公演ができそうな広い場所は、通らなかった。まさか廊下でプロレスはやらないだろう。僕はホールを見損ねた。残念。

 きっと広いんだろうな、サンボーホール。格闘技にあまり興味はないけれど、パンデミックが終息したら見に行ってみてもいいかもしれない。まってろよ、サンボーホール、飛沫の祭典。シブキをかぶりに行ってやるからな。